EAST ASIA SKI MARKET
東アジアのスキー市場
中国と韓国のスキー場を、地形・標高差・代表リゾート・市場特性から読み解く
OVERVIEW
中国・韓国のスキー場の概要
中国と韓国のスキー場は、同じ東アジアにありながら、地形や規模、リゾートの発展方法に大きな違いがある。中国では新疆ウイグル自治区のアルタイ山脈や天山山脈、吉林・黒竜江などの東北地方、河北省崇礼などを中心にスキー場が発展している。特に新疆には標高差1,000mを超える大型山岳スキー場が複数あり、長い滑走距離と天然雪を生かしたビッグマウンテン型のリゾートが特徴である。一方、韓国では江原特別自治道を中心にスキー場が集中し、比較的コンパクトな地形に充実したリフト、人工降雪、ナイター、ホテルなどを組み合わせた都市近郊型リゾートが多い。
中国では近年、スキー旅行そのものの市場も急速に拡大している。中国国家体育総局によると、2025年11月1日から2026年1月31日までに全国のスキー場が記録した来場は1億1,800万回に達し、そのうち海外からの来場は前年同期比89.2%増加した。単なる競技スポーツではなく、観光やレジャーを含む巨大なウインター産業へ成長している点も、中国スキー市場の特徴となっている。参考:中国国務院新聞弁公室

RANKING
中国のスキー場 標高差ランキングTOP10

今回のランキングは、中国の主要スキー場を「標高差」で比較した。標高差とは、スキー場上部の標高から山麓標高を引いた数値であり、単純に「どれだけ高い場所にあるか」ではなく、山頂から山麓までどれだけ縦に長く滑れるかを見る指標である。ランキング上位には、新疆の吉克普林・禾木、赛里木湖、可可托海などが並び、中国の大型山岳スキー場が新疆に集中していることが分かる。特に今回の比較データでは、吉克普林・禾木が標高差1,396mで1位となった。
| 順位 | 中国語名 | ピンイン | 標高差 | 山頂標高 | 山麓標高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 吉克普林・禾木 | Jíkèpǔlín・Hémù | 1,396 | 2,779 | 1,383 |
| 2 | 赛里木湖 | Sàilǐmù Hú | 1,314 | 3,440 | 2,126 |
| 3 | 可可托海 | Kěkětuōhǎi | 1,220 | 3,041 | 1,821 |
| 4 | 延庆国家高山滑雪中心 | Yánqìng Guójiā Gāoshān Huáxuě Zhōngxīn | 1,100 | 2,171 | 1,071 |
| 5 | 亚布力 | Yàbùlì | 918 | 1,375 | 457 |
| 6 | 北大湖 | Běidàhú | 875 | 1,405 | 530 |
| 7 | 鳌山 | Áoshān | 795 | 2,615 | 1,820 |
| 8 | 青格里狼山 | Qīnggélǐ Lángshān | 645 | 1,965 | 1,320 |
| 9 | 丝绸之路 | Sīchóu Zhī Lù | 600 | 2,450 | 1,850 |
| 10 | 松花湖 | Sōnghuā Hú | 570 | 900 | 330 |
※スキー場の拡張や計測地点によって公表値が異なる場合があります。特に吉克普林・禾木は、近年の拡張後について最高地点2,848m、標高差1,466mとする資料もあるため、本記事では比較条件を統一するため上表の数値を採用しています。参考:Ski China
TOP RESORTS
主な中国のスキー場
中国を代表する大型スキー場を見ると、新疆の存在感が非常に大きい。吉克普林・禾木はアルタイ山脈の雄大な地形と長い標高差、可可托海は長い雪季と高標高、赛里木湖は標高3,000mを超える山岳エリアが特徴となっている。一方、中国東部には亚布力、北大湖、松花湖、河北省には北京冬季五輪を契機に発展した崇礼・延慶エリアがあり、中国では「巨大な自然山岳型」と「都市からアクセスしやすい大型リゾート型」の両方が発展している。ここでは今回の標高差ランキング上位3施設を紹介する。
1位吉克普林・禾木

- スキー場名
- 吉克普林・禾木(Jikepulin – Hemu)
- 地域
- 新疆ウイグル自治区・アルタイ地区
- 標高差
- 1,396m
- 山頂標高
- 2,779m
- 山麓標高
- 1,383m
吉克普林・禾木は、中国北西部の新疆ウイグル自治区、アルタイ山脈に位置する大型スキーリゾートである。今回の比較データでは標高差1,396mとなり、中国の主要スキー場の中でも特に大きな高低差を持つ。標高1,383mから2,779mまで広がり、約70kmのゲレンデと10基のリフトが記録されている。アルタイ地域は寒冷で乾燥した気候と天然雪に恵まれ、長い滑走距離やパウダースノーを求めるスキーヤーから注目されている。参考:Skipedia
2位赛里木湖
- スキー場名
- 赛里木湖(Sayram Lake)
- 地域
- 新疆ウイグル自治区
- 標高差
- 1,314m
- 山頂標高
- 3,440m
- 山麓標高
- 2,126m
赛里木湖は、新疆西部の高標高地域に位置するスキーエリアで、今回の比較では1,314mの標高差で2位となった。山麓自体が標高2,000mを超え、上部は3,440mに達するため、中国の主要スキー場の中でも特に高い場所に位置している。一方で、現時点では滑走コース約7km、リフト2基とされており、標高差の大きさに対してリゾート規模そのものは比較的コンパクトである。中国では「大規模リゾート=大きな標高差」とは限らないことを示す興味深い例でもある。参考:Skiresort.info

3位可可托海

- スキー場名
- 可可托海国际滑雪度假区(Koktokay)
- 地域
- 新疆ウイグル自治区・アルタイ地区
- 標高差
- 1,220m
- 山頂標高
- 3,041m
- 山麓標高
- 1,821m
可可托海は新疆北部のアルタイ山脈に位置する、中国を代表する高山スキーリゾートの一つである。最高地点3,041m、雪道エリアの最低地点約1,821mで、標高差は約1,220m。長い雪季、豊富な天然雪、大きな標高差が特徴で、資料では雪季が最大7か月程度に達するとされる。中国国内でも比較的早い時期から滑走できる高山スキー場として知られ、競技から一般スキー、自然雪を楽しむスキーまで幅広い利用を想定したリゾートとなっている。参考:中央広播電視総台・新疆チャンネル
KOREA SKI RESORTS
韓国のスキー場の特徴
韓国のスキー場は、中国の新疆のような標高差1,000mを超えるビッグマウンテン型よりも、アクセスの良さ、人工降雪、リフト設備、ナイター営業、ホテルやレジャー施設を組み合わせた総合型リゾートが中心である。特にスキー場は江原特別自治道に集中し、平昌、旌善、横城、洪川などに代表的なリゾートが点在している。2018年平昌冬季五輪の開催を通じて国際競技用施設も整備され、現在もスキー・スノーボードだけでなく家族旅行や短期滞在型のウインターリゾートとして利用されている。
MONA YongPyong

MONA YongPyong(龍平)は江原特別自治道・平昌を代表する大型スキーリゾートで、公式情報では標高約700mから1,458m、28コース、14基のリフト・ゴンドラ、コース総延長29.1kmを持つ。Rainbow Paradiseは全長5.6km、標高差702mとされ、中国の巨大な山岳型スキー場とは規模感が異なるものの、韓国では代表的なロングコースの一つである。参考:MONA YongPyong公式サイト
High1 Resort
High1は江原特別自治道・旌善の高地に位置し、3つの山頂から17コースが広がるスキー場である。韓国観光公社によると15コースがFIS認定を受けており、高標高と人工降雪設備を生かした安定したゲレンデコンディションが特徴となっている。ファミリー向けだけでなく、競技志向や上級者にも対応する韓国有数の山岳型リゾートである。参考:VISITKOREA

Phoenix Snow Park

Phoenix Snow Parkは平昌に位置し、2018年冬季五輪でも競技会場として利用されたスキーリゾートである。現在は21コース、8基のリフト、ゴンドラなどを備え、一般スキーだけでなくハーフパイプやフリースタイル系施設も特徴となっている。ソウルから比較的アクセスしやすく、ホテル、ウォーターパーク、子ども向け施設なども備えるため、韓国らしい総合型ウインターリゾートの代表例といえる。参考:VISITKOREA
中国と韓国のスキー場の違い
中国と韓国を比較すると、最大の違いは山のスケールとリゾートの立地にある。中国では新疆を中心に標高3,000mを超える山岳地帯や標高差1,000m以上のスキー場が存在し、自然地形、天然雪、長距離滑走を楽しめる場所が増えている。一方の韓国は標高そのものは中国西部ほど高くないが、ソウルからのアクセス、人工降雪、ナイター、宿泊施設、飲食・レジャー施設などの利便性が高い。中国が「広大な山岳地形と成長する巨大市場」、韓国が「コンパクトで完成度の高い都市近郊型リゾート」という違いを見ると、同じ東アジアでもスキー文化の発展方向が大きく異なることが分かる。
FIELD RESEARCH
中国スキー市場の現地調査・分析
KRBでは、中国のスキー場、室内施設、スキーショップ、ブランド動向を現地調査と公開資料から分析した記事をnoteマガジン「中国のスキー市場を徹底調査」で公開している。





